デザイナー旅~青森アートとねぶた編~

/ 4月 2, 2018/ Mr.Hamaji, デザイナー旅, デザイン, 国内, 美術館・展示会・クリエイティブスポット

さて、Hamajiは生まれも育ちもみちのく秋田です。

最近は東京以外でも地方のアート活動が活発ですね。故郷・東北も見所がいっぱい。
私が特に好きなのは青森県。青森県出身の友人も多いのですが、秋田県民以上になまりが強くて面白い。美味しい名物もいっぱい。日本のアート界でも有名な作家を数多く輩出している県でもあります。

今回は夏に両親と行った青森アートツアーの思い出を綴りたいと思います。

私の実家は秋田でも県南に位置するので、青森市までの距離は高速を使っても車で約4時間。ええ、めちゃくちゃ遠いです。自分は運転免許がないことをいいことに、嫌がる父に無理やり運転をお願いしていざ青森へ。向かった先は、、

青森県立美術館

http://www.aomori-museum.jp/ja/

2006年に開館したこちらの美術館は、建築は青木淳、オリジナルピクト・サインデザインは菊池敦己が担当。短大時代にデザイン誌で話題になっていたので行こう行こう詐欺でそこから結局10年以上経ってしまいましたよ。長かった。

朝8時に家を出発し、ちょうどお昼時に到着。父、クタクタ。

 

青森の緑の中に佇む白い建物。クタクタの父を差し置いて、母と私は車の中でぐっすり寝てきたので戦闘準備万端。先頭切って入館する母。入り口の右側の壁面には夜になると青く光る木のマークが並んでおりました。

シンボルである木のマークは、「木」と「a」をモチーフにしているそう。マークを単体としてではなく、パターンとして展開するという当時では新しい考え方。「青い木が集まって森になる」というコンセプトなんだそうです。だからネオンの色も青。とてもわかりやすいですね。

館内のピクト、サインはこんな感じ。白い空間にシンプルで統一感があるこのフォントが整然と並んでいるのがスマートで印象的でした。

 

さてさて、建築やサインデザインはもちろん楽しみでしたが、今回私の最大の目的は、、こちらの棟方志功展示室。

棟方志功(Shiko Munakata)1903年 – 1975年

知っておりますか?青森県出身の世界的に有名な版画家です。実は彼、Hamajiにとっては大変ゆかりのある人物なのです。まあゆかりといっても、一方的にシンパシーを感じていただけなんですけども。

きっかけは、高校の美術でゴッホの絵画の模写をしていたとき。私はゴッホという画家が大好きだったのですが、点描のように点で濃淡を調整していく手法がとても苦手でした。全然上手く描けなくて、「ああもう、ゴッホになりたいっ!」とイラついて放った一言に、当時の美術の先生が「棟方志功かよ!」と三村並みのツッコミを入れてきました。知らない人は、は?って感じですよね。私も当時は棟方志功を知らなかったので、先生何言ってんの?と思いました。のちにツッコミが気になって調べてみると、棟方志功という版画家はゴッホに憧れて芸術の世界に飛び込み油絵画家を目指し「わだばゴッホになる。」(※「わだば」→青森なまりで「私は」という意味。)と宣言。のちに世界的に有名な版画家になっちゃったというサクセスストーリーの持ち主でした。

へぇ、、。かっこいいやないの、、。サクセスストーリーにすーぐ影響されていた純真無垢なJK.Hamajiは、その日から周囲に私ゴッホになるわ。と、宣言。まあ結局未だにサクセスしてないんですけども。

そんな甘酸っぱい思い出がある棟方志功。影響されると知りたくなっちゃうタイプなので、その後も本を読んだり、ドキュメンタリーを見たりしてきましたが、まだ生の作品を観たことがなかったのです。彼の出身地の青森で、初めて生で観られるワクワクでいっぱいになりました。大好きだったアーティストのライブに初めていくときみたいな感覚。私にとって美術館はそういう空間です。

胸の高鳴りを抑えきれずいざ突入。

満面の笑顔の志功が迎えてくれました。「いらっしゃい」って言ってるみたい。早くもここでグッときちゃったHamaji。

 

二菩薩釈迦十大弟子(1939年)

こちらは県立美術館寄託の作品。木版、墨と紙のみのこちらは圧巻の迫力でした。志功といえば、カラフルな版画作品が有名なのですが、写真OKゾーンが少なく、載せられる写真がないのが本当に残念、、。是非青森県に行って生での鑑賞をおすすめします。

 

せっかくなので、志功の人生を描いている版画と詩を紹介します。

わだばゴッホになる  詩・草野心平

鍛冶屋の息子は。相槌の火花を散らしながら。
わだばゴッホになる。裁判所の給仕をやり。貉(むじな)の仲間と徒党を組んで。
わだばゴッホになる。とわめいた。
ゴッホにならうとして上京した貧乏青年はしかし。
ゴッホにはならずに。世界の。Munakataになった。
古稀の彼は。つないだ和紙で鉢巻きをし。板にすれすれ獨眼の。
そして近視の眼鏡をぎらつかせ。彫る。
棟方志昴を彫りつける。

 

青森の鍛冶屋に生まれた志功は、絵を描くことが大好きな少年に。18歳の時にゴッホの「ひまわり」と出会い、その生命力と存在感に圧倒され油絵にのめり込み21歳で上京。しかし世間には認められない日々が続きます。画家の仲間達はしきりに有名画家に弟子入りすることを勧めましたが、「師匠についたら師匠以上のものは作れない。ゴッホも我流だった。絶対に師匠にはつかない」と拒否。新しい道を模索し始めます。模索し続けた結果、日本にはゴッホが高く評価し、賛美を惜しまなかった木版画があるじゃないかと気づき版画制作を開始。33歳、上京から12年目にして初めて自身の作品が売れます。どれだけ嬉しかったでしょう。想像つきません。

、、その後は日本の芸術界飛び越えて海外でまでみとめられちゃう志功。53歳の時にベネチア・ビエンナーレで国際版画大賞を受賞。これほんとすごいことです。一躍世界のMunakataですよ。56歳の時にはフランスのゴッホ兄弟のお墓へ巡礼。自分が憧れていた人のお墓に成功して会いにいくってどんな気分なんでしょう。何を話したんだろう? Hamajiもゴッホのお墓参りに行きたいのですが、まだまだ行けません。サクセス目指して頑張らないとです。数々の賞を受賞し、「板極道」を生きた志功は1975年72歳で永眠。亡くなる前年に自分のお墓の原画を残していたそうです。そのお墓は、ゴッホのお墓とまったく同じ大きさとデザインのもので、前面には「棟方志功 チヤ(奥さん)」と名前を刻み、没年も永遠に生き続けるという意味を込め、「∞(無限大)」と彫り込まれていたそう。最後までブレない人。

私が画家やアーティストを好きになる時って、作品が好きなのはもちろんなのですが、その背景にあるストーリーに惹かれるかどうかが大きいなと思います。ゴッホにしても、棟方志功にしても。志功のこのストーリーを頭の中に思い出しながら作品を見ていると、その力強い版画の線や、鮮やかな色使いから本当にさっきまで生きてたんじゃないのって感覚になったりします。それは映像や画集では感じることができない感覚。近年、絵画展が好きになってきたのはこの影響のような気がします。もうこの世にいない人なのに、時を超えてその人が見たものや感じたものを描いた作品に出会えるのだから、よく考えたらすごいことですよね。美術館何が楽しいのかわからないって人は、作者のことをよく知ってから行くといいかもしれません。きっと見方が変わってくるはずです。

はい、長くなりましたが。他の見所は、同じく青森県出身の美術作家の展示室。

奈良美智(Yoshitomo Nara)1959年生まれ

この独特なイラスト。見たことがある人も多いですよね。彼も世界的に評価されており、ニューヨーク近代美術館(MoMA)や、ロサンゼルス現代美術館にも作品が所蔵されております。音楽好きで、少年ナイフや、bloodthirsty butchersなどのCDジャケットも手がけているすごいお方。

そんな彼が手がけた青森県立美術館のフォトスポットがこちら。

 

あおもり犬。高さ8.5メートルもあるのです。Hamajiも見上げちゃう大きさ。

真夏のこの日は30度越えだったので、背中暑そうだなと心配になりました。そりゃこんな表情になるよね。暑い夏も、大雪の冬もお疲れ様です。

他にもたくさん見所がある青森県立美術館ですが、、Hamajiは棟方ゾーンをじっくり堪能しすぎたため、一緒に来ていた両親はとっくに見終わっていなくなっておりました。通常の展示でも棟方志功と奈良美智はバッチリ見れるので、いつ行っても安心です。その他にも、おもしろそうな企画展が巡回しているので、青森でアートに触れたい方は是非行ってみてください。

その後、青森市内へ移動。

青森ベイブリッジ。20年以上前に家族旅行で来て以来でした。昔はなかったA-FACTORYという青森の産物・地域文化を発信する工房市場が。

http://www.jre-abc.com/wp/afactory/index/
倉庫みたいな建物でしっかりブランディングされていておしゃれ。

青森といえば東北三大夏祭りで有名なねぶた!
ねぶたが年中展示されている、ねぶたの家ワ・ラッセへ。先ほどのA-FACTORYの目の前にございます。

http://www.nebuta.jp/warasse/

ねぶた関連の博物館。仙台七夕祭りと、地元秋田の竿灯祭りは参加済ですが、ねぶた祭りはまだ行ったことがないので初・ねぶたです。

迫力!近くで見ると本当すごい。こんな大きな山車が青森市内を練り歩くんだから、盛り上がるでしょうね。いつか行ってみたいです。

ねぶたの内側も展示されておりました。こんな繊細な作り。

 

Hamajiの中のねぶたのイメージって、一貫してずっと「めっちゃロックでかっこいい」だったのですが。椎名林檎姉さんもその魅力に気づいてしまったのか、『長く短い祭り/神様、仏様』というCDのジャケットはこちらのワ・ラッセで撮影されたものらしいです。

アートディレクション : 木村豊 / 撮影 : 内田将二
いい。エロい。カッコいい。林檎姉さんのようなエロカッコイイ写真をインスタにアップしたい方は是非、水着持ってワ・ラッセに行きましょう。

 

その後は市場好きの父に付き合って市場めぐり。海が近いので海鮮丼がとても美味しかったです。

日帰りだったので、青森県立美術館と青森市内中心の観光になりましたが、青森アートに触れて大満足な1日でした。次はねぶた祭りと棟方志功記念館に行ってみようと思います。

http://munakatashiko-museum.jp/access.html

ネットで検索するとすぐに見たり聴いたりできてしまう現代ですが。実際に足を運び、本物に触れることで受ける感動を忘れないでいきましょう。きっと心を豊かにしてくれるはずです。と、Hamajiは思います。では。

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