2Pacとはどんな人間なのか? All Eyez on Meの見所と感想(ネタバレ)
いろんなジャンルの音楽を聴いたり、調べたりするというのはとても面白く、興味深いことが多いです。ロックにも歴史があるようにヒップホップにも歴史があります。
今回はAll Eyez on Meは1996年に25歳で亡くなったラッパー、2Pacの生涯を描いてた映画について。
2Pacとはどんな人間なのか? All Eyez on Meの見所と感想(ネタバレ)
1990年代アメリカのヒップホップ事情を知るのであれば2Pacは避けて通れません。
海外ではThe 27 Clubといって有名なミュージシャンや俳優が27歳で死ぬという言葉がありますが、それよりもっと前に亡くなってしまった2Pacとはいったいどういう人間、ミュージシャンだったのか?なぜエミネムはじめ多くのラッパーたちから尊敬されるているのか?
なんとなくヒップホップかっこいいから聴いていたって人や、ちょっと最近ヒップホップに興味あるんだよねーという人はどんな文化で、どんな思いで曲を作っているのかバックグラウンドなどもわかっているとより楽しめると思います。
ヒップホップの音楽を普段聞かない人も
アメリカのヒップホップのアーティストのMVを観て、なんであんなに女、車、金みたいなイメージをだしてくるんだろうと思ったことはありませんか?
なんとなくその「なぜ」の答えがわかるような映画です。是非ご覧ください。
あらすじ
時代は1990年代。
今よりもさらに黒人差別が激しかった時です。
2パックの両親はブラックパンサーという黒人差別と戦う政治組織に所属して活動しており、FBIから狙われるるような存在でした。
結果、父親は牢獄へ。母親と逃げながら生活をしていましたが、母親からも離れて暮らすことを提案されます。
それが2Pacが高校生の頃。
2Pacはニューヨークからロサンジェルスに渡り、そこから彼のヒップホップ人生が始まります。
オーディションに合格し、1991年に「MCニューヨーク」という名前でデジタル・アンダーグラウンドの一員として「Same Song」でデビュー。
その後、2Pacとしてソロ・デビューし、映画「ジュース」に出演したことによってとんとん拍子で知名度が上がります。
しかしそれと同時に色々と問題が起きていきます。
■撃たれて東西の対立が激化
物議をかもすようなストレートで尖った歌詞。プライベートでの横行。
2Pacは様々な犯罪に関与していたと言われていますが、1994年11月30日、レコーディング中に銃撃される事件がおきます。
頭部に2発、股間に2発、手に1発、計5発もの銃弾をくらい病院に運ばれますが無事生還。
その時、その場にいたのがショーン・コムズとノトーリアス・B.I.G.。
ショーン・コムズ(ディディ)はバッド・ボーイズ・レコーズ(東海岸のレーベル)の創設者で2Pacを誘って断られた間柄。
ノトーリアス・B.I.G(ビギー)と2Pacは友達。というより2Pacの方が先に売れていたので可愛がってた後輩といった感じでしょうか。
でもこの銃撃の犯人として居合わせた2人を疑った事によって関係が一気に険悪になり溝ができていきます。
■女性にレイプで訴えられ刑務所行き
歌詞で「Bitch」を使いまくるため女性軽視で告訴されたりもありましたが、(映画を見る限り)キチガイファンにはめられてレイプ容疑の罪で4年6ヶ月の判決を受けます。
9ヶ月の服役後、デス・ロウ・レコードのオーナーであるシュグ・ナイトが訪れ2Pacをレーベルに誘います。契約するなら保釈金をレーベル側が払ってここから出してやると言われ、刑務所内で契約を交わします。
このデス・ロウ・レコードはシュグ・ナイトとN.W.A.をやめたドクター・ドレ(ヘッドホンブランドBeats作った人)が1991年にはじめたレーベルで当時ラップ業界を牛耳ってました。
シュグ・ナイトは、1993年に設立し勢いに乗っていた東海岸のバッド・ボーイ・レコーズが気に食わず、公にショーン・コムズをディスってました。
そこにノトーリアス・B.I.Gと対立していた2Pacが加入したことでさらに抗争はヒートアップしていきます。
刑務所から戻ってきた2Pacはノトーリアス・B.I.G.らを激しくディスる「Hit ‘Em Up」を発表します。
2Pac – Hit ‘Em Up (Dirty)
内容は
お前の奥さんとヤったぞ。覚えとけ、一人も残さず息の根止めてやるみたいな感じです。怖い。
日本でもこういうことありましたよね。
Kj vs ZEEBRA
キングギドラの「公開処刑」という曲で思いっきり「パクリ」に関してKjをディスってました。
元々はGreatful Daysで共演していたのに。
■ギャングスタ・ラップ
東と西での抗争。
みんなこういうの好きですよね。マスコミも当然あおります。
刺激的な音楽はビジネスになる。悪い感じのラップが売れる。
そうなるとみんなやり始めるわけですよね。
こういう流れの中で「THUG」をうりにしたギャング出身者が、そのライフスタイルを歌詞にしたラップを乗せる楽曲が流行りました。
それをギャングスタ・ラップと呼び、中には悪くない人も悪ぶって音源を出し始めるという反社会的な副産物を生みはじめます。
「THUG」の意味は悪党とか野蛮な的な感じですが、2Pac自身、お腹にも「THUG LIFE」とタトゥーを入れていて映画の中でもTHUGという言葉は何度もでてきます。
調べによると語源は、かつてインドに存在した暗殺集団。
主に旅行者を狙い、黄色いスカーフを使って絞め殺すので証拠が残らず、1550年から壊滅する1853年までに少なくとも200万人を殺害したという…。
ヒンドゥー教の死の女神カーリーへの供物のために1年で1人は必ず殺さなきゃいけないというルールがあったみたいです。めっちゃ怖くないですか?笑
イギリス統治下にあった時も都市伝説的にこの暗殺集団のことは囁かれていたらしいですが、インド人の迷信だろうと信じれなかったそうです。でも徐々に尻尾をつかみ壊滅させたみたい。
2Pacは結局、1996年9月7日、マイクタイソンの試合観戦後、銃弾を4発被弾し6日後死去。
さらに2Pacが撃たれ死亡した翌年にノトーリアス・B.I.G.もロサンジェルスのパーティーの帰路に銃撃され死亡し東西ヒップホップ抗争の犠牲者となってしまいました。
犯人はいまだ捕まっていません。
感想
生前は散々悪いことをしていたようですが、映画の中では僕はあまり悪い人間には見えませんでした。
誤解が多いからそれを意図して作られたのかどうかはわかりませんが、ドラッグや酒もやらないし、とても正義感が強くピュアな人間なのかなという印象。結構騙されてるし。
確かに、いけないことはしたのかもしれませんが、最初は社会活動をしている親の影響もあってか、暮らしにおける黒人への不当な差別であったりへの反発を信念持って伝えようとしていたんだなと感じました。
しかし、そこから黒人、同士の争いに移っていってしまうという悲しい現実。
今でもニュースになる警察官からの暴力、からの暴動、ってのは幾度となく、繰り返されてきている真実。
後の色んなラッパーに影響を与える俺、2Pac、つなぎ合わせる思い、未来への架け橋、生きる意味考える、ピース。
おっと、ちょっとラップみたいになっちゃいました。
ちなみに2Pac役を演じた俳優のマーク・ローズが本人にめちゃくちゃ似てます。