DakhaBrakhaとは?ウクライナ民謡と世界のリズムを混ぜ合わせる「エスノ・カオス」

DakhaBrakhaとは?ウクライナ民謡と世界のリズムを混ぜ合わせる「エスノ・カオス」

黒くて背の高い毛皮の帽子をかぶった女性3人と、ひげ面の男性1人。舞台に4人が並んだ瞬間、コスチュームだけで只者じゃないと分かります。でも本当にすごいのは音の方です。民謡の合唱に、アフリカや中東、南アジアの打楽器のグルーヴが重なって、聴いたことのない音楽になっている。ウクライナのDakhaBrakhaというバンドです。

ワールドミュージック好きの間ではとっくに知られた存在ですが、日本ではまだ「名前は聞いたことがある」くらいの人が多い印象です。もったいない話だと思います。

どんなバンドか

DakhaBrakhaは、2004年にウクライナの首都キーウにある現代美術センター「DAKH」で、演出家ウラジスラフ・トロイツキーのもとに生まれたバンドです。もともとは劇場の音楽ユニットとして始まりました。バンド名の「DakhaBrakha」は、ウクライナ語の「与える」と「取る」という2つの動詞を組み合わせた言葉だと説明されています。

メンバーは、パーカッションやアコーディオンなど複数の楽器を担当するMarko Halanevych、同じくパーカッションや笛を操るIryna Kovalenko、パーカッション担当のOlena Tsybulska、チェロとパーカッションを担当するNina Harenetskaの4人。全員が歌い、全員が複数の楽器を持ち替えるという編成そのものが、すでに普通のバンドとは違います。2009年にはロシアの前衛芸術賞であるセルゲイ・クリョーヒン賞を受賞、2020年にはウクライナの文化功労賞にあたるシェフチェンコ国家賞を音楽芸術部門で受賞しています。

ウクライナという国の音楽的背景

ウクライナには、地方ごとに異なる旋律とハーモニーを持つ民謡の伝統が色濃く残っています。複数の声が重なり合う多声合唱のスタイルは、教会音楽とも農村の労働歌とも違う独特の響きを持っていて、DakhaBrakhaのコーラスワークはこの伝統に直接根を張っています。

同時に、彼らが生まれたDAKH劇場という場所も重要です。伝統をそのまま保存するのではなく、実験的な演劇や美術と組み合わせて再解釈しようとする動きの中から、DakhaBrakhaは出てきました。民謡を博物館入りさせず、生きた音楽として更新し続けているバンドです。自分たちの音楽性を「エスノ・カオス」と名乗っているのも、伝統と実験のどちらか一方に寄らない姿勢の表れです。

音の特徴

聴いて最初に驚くのは、声の重なりの生々しさです。裏声も地声も混ぜたウクライナ民謡的なコーラスが、ジャンベやタブラ、ディジュリドゥといった民族楽器のリズムの上で絡み合う。西洋のポップスの和声感とはまったく違う、うねるようなグルーヴが生まれます。

日本の音でたとえるなら、木遣り歌のような複数人の掛け合いの歌に、和太鼓ではなくアフリカや中東の生々しい打楽器のグルーヴを重ねたような感覚に近いです。チェロが低音を支え、時にホーンやアコーディオンが顔を出す編成なので、民族音楽というよりバンドサウンドとして聴ける強度があります。派手な電子音は使わず、生の声と生の楽器だけでここまでの厚みを作れるのかと驚かされます。

2022年にロシアがウクライナへの侵攻を始めた後も、DakhaBrakhaは予定されていた海外ツアーを続けました。公演では「Stop Putin」「Arm Ukraine Now」といったメッセージをスクリーンに映し出し、支援団体Razomへの寄付を呼びかけたと複数の海外メディアが報じています。音楽と生活が地続きになっているバンドだと分かるエピソードです。

まず聴くべき曲

DakhaBrakhaを知るなら、まずこの2曲を聴いてみてください。

「Monakh」。低く沈むようなコーラスから始まり、じわじわとパーカッションが厚みを増していく曲です。エスノ・カオスというバンド名の意味が、この1曲だけで体感できます。

「Vynnaya Ya」。掛け合いのボーカルとリズムの応酬が、ライブならではの熱量で伝わってくる公式ライブ映像です。スタジオ音源とは違う、生々しいグルーヴを味わえます。

よくある質問

Q. DakhaBrakhaはいつ、どこで結成されたバンドですか?
2004年、ウクライナの首都キーウにある現代美術センター「DAKH」で、演出家ウラジスラフ・トロイツキーのもとに結成されました。もともとは劇場の音楽ユニットとして始まっています。

Q. 「エスノ・カオス」とはどういう意味ですか?
DakhaBrakha自身が自分たちの音楽性を表すために使っている言葉で、ウクライナ民謡をベースにしながら、アフリカや中東、南アジアなど世界各地のリズムや楽器を混ぜ合わせる姿勢を指しています。

まとめ

  • 2004年、キーウのDAKH劇場から生まれた4人組
  • ウクライナ民謡の多声合唱と、世界各地の打楽器を組み合わせた「エスノ・カオス」
  • 電子音に頼らず、声と生楽器だけで作り出す厚みのあるグルーヴが持ち味
  • まず聴くなら「Monakh」、ライブの熱量を知るなら「Vynnaya Ya」

ツアー日程やチケット情報は変わりやすいので、公式サイトや公式SNSで最新情報を確認してください。一度聴くと、民謡という言葉のイメージが変わります。

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