デザイナーが選ぶかっこいい映画フライヤー10選と解説

Mr.Hamaji
こんにちは!Doing ARTデザイナーのMr.Hamajiです

私は小学生の頃から収集癖がございます。何の収集かというと、、フライヤーやカタログ。無料でもらえるやつです。お金がかからなくていいでしょう。
デザインは本を買わなくても、駅に設置されてるフリーマガジンや映画のフライヤー、カフェのフリーペーパー、化粧品のリーフレットなどでいくらでも学ぶことができるのです。なので新米デザイナーや学生にもおススメ。

海外旅行の時なんかは絶好のチャンス。その国の言語で文字組、レイアウトされた紙ものは日本との違いもたくさん発見できて面白いです。気に入ったやつは昔のものでもファイリングして未だに資料としてよく引っ張り出してるし、集めててよかったなと思ったり。
かっこいいデザインは街中に溢れているので、しっかりアンテナ張っていると結構出会います。

なので今回は、私のコレクションの中から映画のフライヤーにスポットをあてました。かっこいいと思った(全て独断)映画フライヤーを10点選んだので、映画の解説を交えて紹介していきます。

本国版と日本語版の違い

洋画が日本で公開されるとき、世に出回るCMやポスター、フライヤーはもちろん日本版に改定されたものになってます。なのでよく、本国版めっちゃかっこいいのに、日本版のデザインめっちゃかっこ悪いやんって声を耳にします。その原因としては、

・ビジュアルが変わる
・タイトルが変わる
・キャッチコピーが変わる
・情報がめっちゃ多くなる

わかりやすいのはこちら。昨年度のアカデミー賞大本命と言われたLA LA LAND。

 

LA LA LAND

左が本国版で、右が日本版。他にもビジュアル別でいろんなバージョンがあるにせよ、どっちがかっこいいかといったらシンプルにまとめている本国版ではないでしょうか?
私はこの問題はなにも映画だけの問題ではなくて、単なる日本と海外の違いなんじゃないかなと思っているのです。

というのも日本人はすごく丁寧でホスピタリティに溢れていて飲食店の店員さんの態度から、トイレのウォシュレットまで、そんなことまで気を遣わなくていいじゃんってとこまで気を遣ってくれたりします。海外旅行に行くとよくわかるはず。ふつーにガム食べて接客してたりする人いっぱいおります。

そのホスピタリティみたいなのが、デザインにも出てしまっているのではないかとこういうのを見てて思ったり。この映画をどうしてもヒットさせたい→情報大放出。このフライヤーでいうと、

・本年度アカデミー賞大本命!のどでかいキャッチコピー
・ローマ字読みでも絶対読めるのに日本語でラ・ラ・ランド
・主演二人の名前を大きく入れている(どんな作品に出ているかまで表示)
・何の作品を作った監督なのかも表示
・あちこちに名シーンを散りばめている

 

もう情報お腹いっぱいってくらいこの一枚に詰め込みまくってますよね。すでに本国で大ヒットしてるんだから左みたいにビジュアルメインで期待感だけを与えておけば間違い無いような気がするけども。
こんなに見所があるんですよって丁寧に教えてくれちゃうのが日本のデザインなのかな。それはそれで国民性が見えて面白いからいいじゃんとも思いますが。

という感じで、本国版のデザインは日本版になるとガラっと変わってしまっているので、本国版のものを紹介します。

 

1. MYSTIC RIVER(2003年)

これはもう、ずーっと大好きな1枚。クリントイーストウッドのミスティックリバー。映画自体は、重いテーマすぎて一回見て体力消耗しちゃったのですが。

イーストウッドの映画って面白いんだけど、ダークサイドに引っ張られて考えさせられすぎちゃって回復するまでが大変。私だけ?

このビジュアルは、映画のキーとなるマサチューセッツ州を流れる川、ミスティック・リバーと川に映し出された主演3人(ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン)の影と思われます。

映画のストーリーにリンクしたダークなビジュアルに、影に沈んでいきそうな傾いたフォントやグラデーションの使い方がうまいなーと。

これはどこにも書かれていないから真相はわからないけど、ヒプノシス(イギリスのデザインユニット)がデザインした1968年のアルバムジャケットで似た構図のものがあるので、オマージュ的なものなのかなと勝手に推測しています。こちらもかっこいい。

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2. CAROL(2015年)

これは瞬間を切り取ってる見せ方がうまい!と思ったビジュアル。主演のケイト・ブランシェットとルーニー・マーラーが恋に落ちるLGBTの映画。

この映画は映像もとても美しくファッションも素敵。この時期のルーニーは若い時のオードリーヘップバーンを彷彿とさせる。とてもドラゴンタトゥーの女と同一人物とは思えないです。

シチュエーション的には、人混みの中でおたがいを見つけ、見つめ合っている瞬間なんだと思いますが、周りの人が動いている中、止まっている二人の表情を切り取ることによって映画の1シーンが垣間見えます。CAROLとは映画の中のケイトの名前。彼女の衣装の色とリンクしたタイトルの入れ方もうまいです。

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3. The Girl with the Dragon Tatoo(2011年)

これもう好きすぎて、オークションで本国版ポスター買っちゃったやつです。邦名はドラゴンタトゥーの女。

セブン、ソーシャルネットワークなどの監督、デヴィッドフィンチャー作品で、サントラはNINE INCH NAILSのトレントレズナー。音楽含めてダーク。主演はダニエル・クレイグと、先ほどのキャロルで可愛いボブヘアだったルーニー・マーラー。

差!!
このビジュアルの手法は現在は流行しているけれど、当時初めて見たときはすごく新鮮でうおおおおかっこいいいいい!!となりました。ルーニーの横顔にルーニーを見つめるダニエルや植物の写真が透過してありトゲトゲしたフォントの使い方も、ピアスやタトゥーだらけのルーニーの風貌に合っていてクールです。

 

4. LEON(1994年)

古い映画なので画質がいいのが見つからなかった。。LEON。

本国版はLEONのOの文字の中にレオンのシルエットがいたりして小技が効いてますね。赤と黒だけで構成されたジャン・レノの上を見上げるドアップがかっこいいです。
今ではアイコンと言えるくらい浸透しているレオンの丸サングラスとマチルダのボブスタイル。

日本版だとレオンとマチルダが一緒に写ってるこちらのビジュアルが有名かも。擦り切れるほど見たし、いつか殺し屋になろうと謎の憧れを抱いた映画です。

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5. MOONLIGHT(2016年)

アカデミー作品賞受賞で話題となった2016年公開のムーンライト。これはこの前見たばかりの映画ですが、ビジュアルもさながら、映像が本当に美しい!びっくりしました。

もちろんCGとかの美しさではなく、ライティング、背景や小道具の使い方、衣装まで豪華な描写は何もないのに美しく見えるからすごいです。1シーン1シーンがポスターみたい。
同性愛がテーマの映画。このビジュアルは主人公シャロンの10歳、16歳、大人になった姿の3枚の写真をコラージュしたもの。

物語が3部構成なので、このビジュアルのコンセプトは非常にわかりやすいです。この3人本当に似てるんですよね。目が特に。ライティング含めすごくいいビジュアルだと思います。

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6. NYMPH()MANIAC(2013年)

こちらはデンマーク映画。ラース・フォン・トリアー監督の鬱三部作の最終作。邦名ニンフォマニアック。内容はどうなんでしょう。性的にむき出しのドラマらしく、批評はネガティブなものが多いのでまだ見ていません。が、ビジュアルは惹かれるものがあったので。

表情の強烈さと、肌色っぽい色をベースに使っているのが映画の中身の生々しさが伝わってきます。シンプルなフォントとレイアウトなので、全然下品に見えず垢抜けている。

 

7. THE RUNAWAYS(2010年)

 

ジョーンジェットが好きだったので、このビジュアルを見たときジョーンジェット役のクリステン・スチュワートのハマりっぷりに驚きました。シェリー役は I am Samであんなに可愛い少女だったダコタ・ファニング。。衝撃。

左上 Into The Wildの時のクリステン、左下 I am Samの時のダコタちゃん。右、ランナウェイズの時のお二人。女優すごいですね。目つきが最高にいい。

このビジュアルでかっこいいと思ったのは、1970年代のファッションと、カラフルな写真のトーン、そして足の角度にうまく合わせた文字の入れ方。
海外ではこの細長いフォントの使い方よくあるけど、日本じゃ読みずらいからNGって言われちゃうんですよね、、。憧れる。

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8. PERFUME(2008年)

邦名はパフュームーある人殺しの物語ー。トラウマになるほど猟奇的な主人公の映画だったけど、このビジュアルは美しくて印象に残ってます。

舞台はパリ。18世紀のパリのダークサイドがしっかり描かれていて題名の通り香りをキーワードに物語が進みます。左側はティザービジュアルかな?香りをビジュアル化するって難しいけど、この2枚は画面から香りが漂ってくるよう。

日本では、駅に匂いの出る電飾看版を設置したり、一部の劇場では映画のシーンにちなんだ香りを放出する演出をしたりと、当時ではめずらしい広告展開を行ってました。

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9. LITTLE MISS SUNSHINE(2006年)

アメリカのコメディロードムービー。オリーブ役のアビゲイルちゃんがとにかく可愛い。笑いと涙に溢れる家族映画。

こちらのビジュアルは映画に出てくるフォルクスワーゲンのイエローがキーカラーになってます。黄色やピンクって目に飛び込んでくるし、記憶に残りやすいのかな。

切り抜きの人物と、ぱきっとした影。シンプルな文字の配置。とても大胆なレイアウトだけど、強烈に残るビジュアルです。

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10. THE DARK KNIGHT RISES(2012年)

ここまで、CG満載のものはなかったですが、最後はCG全開のこちら。邦名ダークナイトライジング。バッドマンシリーズはほんとどれもかっこいいんだけどこの作品の広告展開には当時かなりワクワクさせられました。まずはティザービジュアルからいってみましょう。

めっっちゃかっこいい。COMING SOONの正しい使い方だなって。キャラものってやっぱりアイコニックでかっこいい。アンハサウェイのキャットウーマン、ツボです。

別バージョンのティザーがこちら。

くううっ、、期待感煽るねー。

いよいよ公開!最後のビジュアルがこちら。

ダークトーンでまとめたビジュアルに初めて色が!これはもう映画館行くでしょう。
すごい上手な広告展開だなって思いました。もちろんキャラの強さと、CGのクオリティの高さがあってのものなんですが。優れた広告展開は動員数や売り上げにとても重要だということがわかります。

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そんな感じで、だいぶ脱線したけども、かっこいいと思った映画フライヤー10でした。私の好みもかなりあるけども。仕事でのレイアウトの参考、フォントの参考にもなったりするので、要チェックやで。

では。