Voice of Baceprotとは?インドネシアの村から世界に届いた、ヒジャブ姿のメタルトリオ

Voice of Baceprotとは?インドネシアの村から世界に届いた、ヒジャブ姿のメタルトリオ

インドネシアの小さな村で結成された女子3人組が、なぜグラストンベリーのメインステージを沸かせるまでになったのか。答えは単純で、演奏がとにかく強い。ヒジャブを被った女性がメタルをやっているという見た目のインパクトだけで消費されがちですが、音を聴けば納得してもらえるはずです。

Voice of Baceprotというバンド名を聞いたことがなくても、動画で1曲聴けば忘れられなくなります。それくらい濃い個性を持ったトリオです。

どんなバンドか

Voice of Baceprot(通称VoB)は、インドネシア・西ジャワ州ガルット県の小さな町シンガジャヤで2014年に結成された3人組ロックバンドです。ボーカル・ギターのFirda Marsya Kurnia、ベースのWidi Rahmawati、ドラムのEuis Siti Aisyahという編成。「Baceprot」はスンダ語で「うるさい」を意味する言葉で、バンド名の通りの音を鳴らしています。

最初はRage Against the MachineやMetallica、Red Hot Chili Peppersのカバーから始まり、次第にオリジナル曲を作るようになったバンドです。2023年には1stアルバム『Retas』をリリースしました。「Retas」はスンダ語で「岩に切れ込みを入れる」という意味で、自分たちが道なき道を切り開いてきたことを重ねたタイトルだといいます。2024年にはインドネシアのバンドとして初めてグラストンベリー・フェスティバルに出演し、メンバーのMarsyaはBBCの「100 Women」にも選出されました。

インドネシアという国の音楽的背景

インドネシアがメタル大国だという話は、日本ではあまり知られていません。でも実際は、国民的な人気を誇るジャンルの一つです。歴代大統領の中にもメタル好きを公言する人がいるほどで、ライブの動員力も相当なもの。地方都市にも熱心なバンドシーンが根付いていて、Voice of Baceprotが生まれたガルットのような町からも次々にバンドが出てきます。

その一方で、彼女たちは保守的なイスラム教徒のコミュニティから「女性がメタルをやるなんて」という批判にも直面してきました。ヒジャブという敬虔さの象徴と、メタルという反抗の象徴が同居する姿は、最初こそ違和感を持って見られたそうです。でも演奏を聴かせ、ステージに立ち続けることで、少しずつ受け入れられていった経緯があります。信仰と自己表現は矛盾しないという証明を、演奏そのもので続けてきたバンドです。

音の特徴

音源を聴くと分かるのは、彼女たちが見た目のインパクト重視ではまったくないということです。ギターリフはタイトで手数が多く、ドラムは手数型というよりグルーヴ重視。Marsyaのボーカルは怒鳴るだけでなく、メロディックなパートとシャウトを行き来する幅の広さがあります。

日本のリスナーに近い感覚で言うなら、BAND-MAIDのような演奏力の高さと、BABYMETALのようなキャラクター性を全部取り払って、代わりにRage Against the Machineのグルーヴ感と主張の強さを足したようなサウンドです。可愛さを売りにする要素は一切なく、実力と怒りで勝負するタイプ。歌詞のテーマも教育や自由、環境問題など社会的なものが多く、単なるラウドロックとは一線を画しています。

まず聴くべき曲

Voice of Baceprotの世界に入るなら、まずこの2曲から聴いてみてください。

「God, Allow Me (Please) to Play Music」。タイトルからして音楽をやることへの切実な願いが込められた曲で、彼女たちがどんな環境を乗り越えてきたかが音の説得力に直結しています。

「[NOT] PUBLIC PROPERTY」。女性の体や存在が「公共のもの」のように扱われることへの怒りを、ストレートなリフに乗せた一曲。聴くほどにタイトなアンサンブルの精度に気づきます。

よくある質問

Q. Voice of Baceprotはいつ、どこで結成されたバンドですか?
2014年、インドネシア・西ジャワ州ガルット県の町シンガジャヤで結成されました。Firda Marsya Kurnia(ボーカル・ギター)、Widi Rahmawati(ベース)、Euis Siti Aisyah(ドラム)の3人組です。

Q. 最初に聴くならどのアルバムがおすすめですか?
2023年リリースの1stアルバム『Retas』から聴くのがおすすめです。「God, Allow Me (Please) to Play Music」や「School Revolution」など、初期からの代表曲がまとまって収録されています。

まとめ

  • インドネシア・ガルット出身、2014年結成の女性3人組メタルバンド
  • ヒジャブを着けながらメタルを鳴らすという存在そのものが、信仰と自己表現の両立を体現している
  • 2024年にインドネシア初のグラストンベリー出演を果たした実力派
  • まず聴くなら1stアルバム『Retas』、中でも「God, Allow Me (Please) to Play Music」から

ライブ日程やツアー情報は変動するので、公式サイトや公式SNS、公式YouTubeチャンネルで確認してください。演奏動画を1本見るだけで、このバンドが本物だと分かるはずです。

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