ギターヒーロー列伝〜ロックの歴史を変えた伝説のギタリスト5人と代表曲・聴きどころ

「ギターヒーロー」という言葉があります。楽器を弾く人、という意味を超えて、その音ひとつで時代を動かしてしまった人たちのことです。ロックの歴史をたどると、要所要所に必ず、常識を壊したギタリストが立っています。
とはいえ「名前は聞いたことがあるけれど、何がすごいのかはよく知らない」という方も多いのではないでしょうか。この記事では、ロックを変えた伝説のギタリスト5人を取り上げ、それぞれの人間ドラマと代表曲、そして「ここを聴け」というポイントを、初心者の方にもわかりやすく紹介します。読み終わる頃には、きっと誰かの一曲を再生したくなっているはずです。
ジミ・ヘンドリックス〜ギターの常識をすべて壊した男
まずはこの人から始めなければなりません。ジミ・ヘンドリックスは、エレキギターという楽器の可能性を一人で書き換えてしまった革命児です。左利きだった彼は、右利き用のギターを逆さに構え、弦を張り替えて弾きました。その独特のスタイルから生まれる音は、誰にも真似できないものでした。
伝説として語り継がれるのが、1969年のウッドストック・フェスティバルでの演奏です。アメリカ国歌をたった一本のギターで、爆撃音のような轟音やうねりを交えて弾ききったパフォーマンスは、ベトナム戦争の時代の空気を映す「音の絵画」として今も語り継がれています。
代表曲は「パープル・ヘイズ」「リトル・ウィング」など。ここを聴け、というなら「リトル・ウィング」の冒頭です。コードを弾きながら同時にメロディーを紡いでいく魔法のようなプレイで、後輩ギタリストたちが今もお手本にしている名演です。若くしてこの世を去ったため活動期間はごく短いのですが、その影響は半世紀を超えて続いています。
エリック・クラプトン〜「ギターの神様」と呼ばれた男
1960年代のロンドンの街角に「クラプトンは神だ」という落書きが現れた、という話は有名です。エリック・クラプトンはヤードバーズ、クリームといったバンドを渡り歩き、ブルースに根ざした「歌うようなギター」で聴く人の心をつかみました。
彼の人生は波乱の連続でした。友人の妻への叶わぬ恋心から生まれたのが、デレク・アンド・ザ・ドミノス名義の「いとしのレイラ」。冒頭の切り裂くようなリフは、ロック史上もっとも有名なイントロのひとつです。また、幼い息子を事故で失った悲しみの中で書かれた「ティアーズ・イン・ヘヴン」は、静かなアコースティックの調べに深い祈りが込められています。
ここを聴け、は「レイラ」の聴き比べです。若き日の激しいオリジナルと、後年アコースティックで演奏し直した穏やかなバージョン。同じ曲がまるで別の物語に聴こえ、一人の人間の人生の重みが伝わってきます。後年のアコースティック版を聴いてみてください。
ジミー・ペイジ〜レッド・ツェッペリンを生んだ音の魔術師
ジミー・ペイジは、レッド・ツェッペリンを率いたギタリストであると同時に、スタジオの音作りまで指揮した「設計者」でもありました。ハードロックの原型といわれる重厚なサウンドは、彼の頭の中で綿密に組み立てられたものです。
ステージではヴァイオリンの弓でギターの弦をこすって弾くという前代未聞の演奏を披露し、観客の度肝を抜きました。楽器の「正しい弾き方」より「どんな音を出したいか」を優先する姿勢こそ、彼の真骨頂です。
代表曲は何といっても「天国への階段」。静かなアルペジオから始まり、曲が進むにつれて熱を帯び、終盤のギターソロで一気に頂点へ駆け上がる構成は、一曲の中に物語があるようです。ここを聴け、はその後半のソロ。ロック史上最高のソロとして挙げられることの多い名演で、初めて聴く方はぜひ最後まで通して聴いてみてください。
エディ・ヴァン・ヘイレン〜ライトハンド奏法の衝撃
1970年代の終わり、ヴァン・ヘイレンのデビューアルバムに収められた短いギター独奏「暗闇の爆撃(エラプション)」を聴いたギタリストたちは、耳を疑いました。ピックを持つ右手の指で直接指板を叩く「ライトハンド奏法(タッピング)」により、それまで不可能だった速さと滑らかさでメロディーが駆け巡ったからです。エディ・ヴァン・ヘイレンの登場で、世界中のギター少年の練習メニューが変わったといわれます。
彼はまた、市販のギターを自分で切り張りして改造した通称「フランケンシュタイン」を愛用した発明家でもありました。マイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」で弾いたソロも有名で、ロックとポップスの垣根を越えて彼の音は響きました。
ここを聴け、はやはり「エラプション」。わずか数分の中に、花火のようなアイデアが詰め込まれています。理屈抜きに「ギターって楽しい」が伝わる演奏です。
ブライアン・メイ〜父と作った手作りギターの音色
クイーンのブライアン・メイのギターは、世界にたった一本しかありません。少年時代に父親と一緒に、暖炉の木材などを使って手作りした「レッド・スペシャル」です。ピックの代わりに6ペンス硬貨を使うこだわりも有名で、あの甘く歌うような独特の音色は、この一本から生まれています。
ここを聴け、は「ボヘミアン・ラプソディ」のギターソロです。フレディ・マーキュリーの歌を受け継いで歌い上げるようなフレーズは、まさに「もう一人のボーカリスト」。さらに「キラー・クイーン」などで聴ける、ギターを何重にも重ねてまるで弦楽合奏のように響かせる多重録音も、彼ならではの職人技です。天体物理学の博士号を持つ学者でもあり、知性と情熱を兼ね備えた紳士として、今も現役で弾き続けています。
よくある質問
Q. ロックギターの入門には誰から聴くのがおすすめ?
メロディーが親しみやすいクイーン(ブライアン・メイ)か、曲の知名度が高いヴァン・ヘイレンがおすすめです。そこからクラプトン、ペイジ、ヘンドリックスと歴史をさかのぼると、音の進化が体感できます。
Q. 「ギターの神様」とは誰のこと?
日本では主にエリック・クラプトンを指す呼び名として定着しています。ロンドンの「クラプトンは神だ」という落書きが由来とされます。
Q. ライトハンド奏法とは何ですか?
右手の指で直接指板(ネック)を叩いて音を出すテクニックです。エディ・ヴァン・ヘイレンが広めたことで、ロックギターの標準技のひとつになりました。
まとめ:一音でわかる、それがギターヒーロー
- ジミ・ヘンドリックスは楽器の常識を壊した革命児。「リトル・ウィング」の冒頭を
- エリック・クラプトンは人生を弦に乗せた「神様」。「レイラ」の新旧聴き比べを
- ジミー・ペイジは音の設計者。「天国への階段」は最後のソロまで通して
- エディ・ヴァン・ヘイレンは発明家。「エラプション」で衝撃を体感
- ブライアン・メイは手作りギターの職人。「ボヘミアン・ラプソディ」のソロを
5人に共通するのは、テクニックの前に「自分だけの音」を持っていたことです。気になった一人からで構いません。今夜、代表曲を一曲だけ再生してみてください。イントロの数秒で、彼らがヒーローと呼ばれる理由がわかるはずです。
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