Altın Günとは?70年代アナトリアン・ロックを鳴らす、オランダ発トルコ音楽バンド

アムステルダムのステージに、トルコの民族楽器バーラマを抱えたボーカルが立つ。バックを固めるのは生粋のオランダ人ミュージシャンたち。鳴っている音はファンクのグルーヴに乗ったアナトリア民謡ーー。Altın Gün(アルトゥン・ギュン)を初めて聴いたとき、国籍という補助線がすっと外れていく感覚がありました。
バンド名はトルコ語で「金色の日」という意味です。彼らが掘り起こしているのは、1970年代のトルコで一瞬だけ花開いた音楽のことで、それを2010年代のヨーロッパでヴィンテージ・シンセとワウペダルまみれのギターを使って鳴らし直しています。この時差と距離の組み合わせが、聴けば聴くほど面白いバンドです。
Altın Günとはどんなバンドか
結成のきっかけは、ベーシストのヤスパー・ヴァーヒュルストがFacebookに広告を出し、トルコ人ミュージシャンを探したことでした。2016年、アムステルダムでバンドは動き出します。現在のメンバーは、ボーカル・バーラマ・キーボードのエルディンチ・エジェヴィット・ユルドゥズ、ベースのヤスパー・ヴァーヒュルスト、ギターのティエス・エルジンガ、パーカッションのクリス・ブルーニング、ドラムのダニエル・スミエンクの5人。トルコ出身とオランダ出身のメンバーが混ざり合っている編成です。
2018年のデビュー作『On』でシーンに登場すると、翌2019年の『Gece』がグラミー賞ベスト・ワールド・ミュージック・アルバム部門にノミネートされ、一気に国際的な知名度を得ました。その後も『Yol』『Âlem』『Aşk』とコンスタントに作品を発表し続けています。
その国の音楽的背景:アナトリアン・ロックという鉱脈
1960年代末から70年代にかけてのトルコには、西洋のサイケデリック・ロックと自国の民謡を掛け合わせる一群のミュージシャンがいました。エルキン・コライやセルダ・バージュジャン、バリシュ・マンチョといった名前が知られていて、バーラマなどの伝統楽器を電気で歪ませ、変拍子の民謡メロディにロックのビートを乗せるというやり方です。この時期の音楽は「アナトリアン・ロック」と呼ばれています。
政情の変化とともにこの熱は一度冷めて、レコードは長らく一部のディガーだけが探し求める存在になっていました。日本でシティポップが海外のディガーやレーベルに再発見されて世界的なブームになった流れと、構造としてはよく似ています。Altın Günはこの鉱脈を、当事者としてではなく一歩引いた場所から掘り当てたバンドです。
音の特徴:どんな音がしているのか
バーラマの金属的な倍音が、アナログシンセの分厚いパッドの上を滑っていく。そこにファンクのベースラインと、ときにディスコに寄るビートが重なります。歌詞はすべてトルコ語で、意味がわからなくても声の抑揚だけでグルーヴが伝わってくる不思議さがあります。
アルバムごとに肌触りは少しずつ変わっていて、初期はオルガンとワウペダルが主役の泥臭いファンクでしたが、『Yol』ではシンセサイザーとドラムマシンが増え、80年代のドリームポップに接近しました。最新作『Garip』はさらに折衷的で、プログレからカリフォルニアのヒッピー・ロックまで顔を出します。イメージとしては、タイの音楽をルーツに持つ米国のインスト・ソウルバンドKhruangbinが、ゆったりしたグルーヴで異文化の旋律を溶かし込むあの感覚に近いものがあります。Altın Günの場合はそこにトルコ語のボーカルとディスコのビートが加わる分、踊れる要素が強めです。
まず聴くべき曲
まずはこの2曲を聴いてみてください。
「Yüce Dağ Başında」。アルバム『Yol』からのシングルで、シンセの光る質感とバーラマの生々しさが同居する曲です。サビに向かって少しずつ音数が増えていく構成が気持ちいい一曲です。
「Rakıya Su Katamam」。より初期らしいファンクの手触りが強い曲で、ベースの粘りとパーカッションの絡み方に耳を持っていかれます。ライブ映えする一曲としても知られています。
よくある質問
Q. Altın Günのメンバーは全員トルコ人ですか?
いいえ。ボーカルのエルディンチ・エジェヴィット・ユルドゥズがトルコ出身で、残る4人はオランダ出身です。拠点もアムステルダムにあります。
Q. 最初に聴くならどのアルバムがおすすめですか?
デビュー作『On』か、グラミー賞にノミネートされた『Gece』から聴くと、バーラマとファンクが混ざり合う初期の持ち味がつかみやすいです。
まとめ
- 2016年にアムステルダムで結成された、トルコ人とオランダ人の混成バンド
- 1970年代トルコのアナトリアン・ロックを、シンセとファンクで現代に鳴らし直す音楽性
- 『Gece』はグラミー賞ノミネート作。まずは『On』か『Gece』から聴くのがおすすめ
ライブの日程やチケット情報は変動するため、最新情報は必ず公式サイトや公式SNSで確認してください。バーラマの音色に一度耳が慣れると、他のバンドの音が少し物足りなく感じるかもしれません。
